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演奏会は大いに盛り上がり、観客が帰ったあとも、その熱気は覚める気配が無かった。
途中から地元の吹奏楽団をゲストとして招き、合同演奏をしたのには、流石の明衣も驚いたし、その迫力に言葉を失った。
ただ、やはり気になることがあった。
楡だ。
「先生、残念でしたね。良い演奏会だったのに」
「そうね。また来年来たら良いじゃない」
五月女と本郷はそう会話を交わしながら、のろのろと家路を歩いている。
明衣は会話に入ろうとせず、眉間に皺を深く刻みながら歩いていた。
「じゃあ、私こっちだから」
「あっ、送りますよ先輩!」
五月女は本郷と二人きりになるチャンスだとばかりに、彼女について走りだす。
明衣はそれを見て苦笑しながら、一人歩き出した。



