そこで、良祐が先輩の隣に座り直し、明衣と向き合う形になる。
こんなに立派なソファー、何処で手に入れたのだろう?
その前に、ここは何部?
明衣の頭はこんがらがっていた。
それを察した先輩が、まずは口を開く。
「いきなりじゃ、わからないわよね?改めて自己紹介するわ。私は部長の本郷蘭『ホンゴウラン』。隣に居るのが、去年からうちの部員になった五月女良祐『サオトメリョウスケ』よ」
「よろしく!」
紹介の後に元気に挨拶をし、白い歯を覗かせて笑う五月女。
明衣もつられて笑う。
「此処が何部か知ってる?」
「……知らないです。(つーか入部するつもり無いんで)」
本郷の問いに困ったように答え、明衣は苦笑した。
すると、本郷はニコッという効果音がぴったりの笑顔を見せ、言った。
「良いのよ。この部活の存在は知らない人の方が多いわ。あなたがなぜ此処に来たのかも不思議なくらい」
「そう……なんですか……」
その笑顔が堪らなく美しかったので、明衣はらしく無いと思いながらも言葉に詰まった。



