そいつは見た目は派手だし、目立つ存在で、外国語の教師ではなく地味な世界史の教師だった。

頼保が初めての勤務先で、些か緊張しているなどと、挨拶か何かで語っていた。

無表情で、まるで能面か何かのようにそれを変えることは無かったから、その言葉は真実なのか、果たして怪しいところが有った。


「あの先生、見た目からしてヤバめじゃない?元ヤンじゃないの?」


本郷の後ろの方から話し声がした。その言葉に返事はなく、それが自分に向けられたものだったことに気付いた。


「どうなんだろ?でも、地毛だと思うよ。染めたり抜いたりしたら、あそこまで綺麗に仕上がらないでしょ」


本郷はそう答えてから、遠くからでもわかる、彼の瞳の色に目を奪われていた。


濁ったブルーグレー。

曇り空のような瞳が、体育館を見渡している。

何となくどこかに雨が降りそうだ。


更に、体育館の壁際にはチキンリ●ルのような教師が居た。

本物かと思った。


さっきの教師の紹介によれば、名を桑島と言うらしい。



学校も荒れていて変な学校だが、教師も変な輩が多いと思った。