彼女の二重のぱっちりした瞳が、明衣を見て瞬きを何度か繰り返した。
「……取り敢えず、立ち話も何だから、奥のソファーで説明するわ。良祐、お茶出して」
「了解ッス!」
良祐と呼ばれた男子生徒は、ビシッと無駄に綺麗な敬礼をすると、教室の脇にあった戸棚を開けたり閉めたりし始めた。
明衣は、もしかして、入部すること前提になってる……?
と、半ば冷や汗をかきながら先輩の後ろを歩いていた。
やがて、これまた無駄に綺麗なソファーに腰掛けるように促され、戸惑いながらもそこに腰を沈ませた。
ボフ、と柔らかいソファーに、明衣の体は僅かに沈む。
それとほぼ同時に、良祐が緑茶を持ってやってきた。
「熱いから気を付けてね!」
「あ、ありがとう……」
すっかり巻き込まれている。ヤバイ。
と内心思いながらも、二人の期待と喜びが混ざった視線に嫌と言うほど突き刺され、その場を動くことが出来なかった。



