a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜



指先が痛むのは、明衣だけではなく、ベースを担当することに成った五月女も同様だった。


ふっくらとした指先が、まるでドアに挟んだ時のようにジンジンと痛む。


ギターに比べ弦が太く、指に刺さる感覚は辛くはないが、その分強く押さえなければならないので、やはり指に強く食い込むことには変わり無い。


「いたた……しばらくパソコンはお預けかなぁ……」


誰に言うわけでもなく、五月女は一人呟いた。

すると、クラスメイトの一人が、五月女の様子に首を傾げた。


「どした?元気ねーじゃん。つーか、朝ベース持ってたよな?バンコン出んのか?」


五月女は苦笑する。そして頷いた。


「そうなんだよ〜。初心者だから指痛くなっちゃって」


「だろうなぁ、頑張れよ」


「あは、有難う」


五月女はそのクラスメイトに感謝しながら、指の鈍痛に顔をしかめた。