a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜



明衣は、家に持ち帰って練習した。

ソフトケースは付属されていたので、必要なものをそれに入れて持運びが出来るようにしたのだ。


楽譜に書かれている事もよく判らず、取り敢えずコード早見表を見ながらコードを押さえるのに精一杯だった。


「ん?ん〜?Fって……」


たどたどしくフレットを押さえ、四苦八苦しながら楽譜を睨み付けるが、何しろ弦が細く、指に食い込むため痛い。

しかも、バレーコードは難しく押さえられなくて、少しだけ挫折気味だった。


──やるからには優勝……


明衣はギターを抱えたままベッドに倒れこんだ。


どうして本郷は、他人のためにあそこまで入れ込めるのだろう。


今までの依頼も、明衣は頑張っていたようでどこか冷めていた。

彼女のように、バタバタと奔走したりはしなかった。


今もそうだ。


明衣は物事を他人事のように捉える傾向がある。


だから、少し難しいコードが出た途端にこれだ。


楽譜と早見表を投げ出し、ベッドに体を沈めた。