その視線の先には、短髪をワックスで、ライオンのたてがみのように固めた男子生徒が嬉しそうに目を輝かせて立っていた。
上靴のラインが赤なので、自分と同じ二年生であることに取り敢えず安堵する。
「そういう訳じゃないんだけど……」
「そしたらもしかして、入部希望者!?やったぁ!先輩!せーんぱーいっ!」
明衣が彼の問いに答えると、彼は嬉しそうに教室の奥へと叫んだ。
話が見えないのもあるが、その前に、その呼び方が某お笑い芸人のようで思わず吹き出してしまう。
「わざわざこんな所に来てくれたなんて、嬉しいわね」
声の後に現われたのは、頭の高い位置で髪を一まとめにした、とても可愛らしい女子生徒。
上靴のラインが緑なので、三年生であることが判り、明衣は思わず「はぁ…」と曖昧な返事をした。



