「奈美さん!きちんと掃除してくださらないとこの家から追い出しますよっ」


私の耳に響く、婦人の声。

私はこの家の家政婦。


そう、私は売られたの。

この家はとても広くて、とても私一人では掃除なんか出来ない。

私はまだ15歳で、体もそんなに大きくないし、体力もついていない。




なぜそんな私をここの人は買ったのか?


理由は二つ。



容姿が良くて、頭が切れるから。


見たことは無いが、ここの家の人には息子がいるらしく、その息子が、

「家政婦は美人で頭いい人がいー」

といったらしい。


そのため、婦人は600万円で私を買った。



私は、600万円の入ったトランクと引き換えにこの家に来た。



私はこの家の人たちについて、なにも知らない。


そう、名前ですら知らない。


いつも、「婦人」や「奥様」といっているだけ。



でも私はそれでいい。



ただにっこり微笑んでいれば、食事が出来る。




これで私の一生を終えてもいいと、思っていた。








思って・・・いたのに・・・・・。