「ふぅ~ん…そう憧れね……」
「そ、そうだよ!憧れだよ!憧れ!」
「そう……」
「な、なによ、お母さん」
「別にいいけど、玉ねぎの皮、いつまで剥いているの?食べるところ、無くなっちゃうわよ」
「えっ!?あっ!!」
こんなベターな展開…玉ねぎ、小さくなりすぎてるよ……
お母さんは、そんなあたしの顔を「クスクス」笑いながら、それから先の事は、一切聞こうとしなかった。
だから、あたしも、何も言わずに
「お母さん」
「なに?どうしたの」
「明日、朝から出かけて来るね。」
「えっ?どこへ?」
「映画観に……メグちゃんと10時に待ち合わせしたんだ」
メグちゃん、ごめん!!
「そう、気をつけて行くのよ。遅くても7時までには帰って来なさいよ」
「うん……分かった……」
その後も、お母さんは詮索しないで、一緒にシチューを作って、お父さんが帰って来て
家族三人で食卓を囲んで、一緒に食べた。

