「何してんだよ、オッサン」
安藤さんの後ろには
雨でびしょ濡れになりながら、安藤さんに傘を突き刺している大和が立っていた。
「悪いけど…さなは俺のだから。返してくんない?」
目が…怖いよ…
安藤さんは小学生の大和に怯んだのか、あたしを掴んでいた手の力を緩めた。
「何、キミ」
「どーでもいいだろ?さなは嫌がってんだからさ」
「…ふーん。ま、いいや。オトモダチはいっぱい居るしね。
さなちゃん、残念だけどこの話し無かった事にして?
…大人しくしてたら彼女にしてあげても良かったんだけど。
まぁ、気が向いたらいつでもどうぞ」
安藤さんは落ちていた傘を拾って、来た道を戻ろうとしたが
大和に傘でせき止められて歩みを止めた。
「今度さなに何かしたら
殺すよ?」
「―――………」
少しの間睨み合って、安藤さんは帰って行った。



