小悪魔男子



覚えていないことがバレたらしく、益々大きな声で怒り狂った和樹…。


ごめん…


「実行委員に頼み込んだ時に ”二人のうちどっちかが優勝したら 和樹がキスしてやる”ってやつらしいよ♪」


部外者だからか、にこやかに説明してくれた安藤さん。


…その後和樹に「笑ってんじゃねぇーーーー」とヘッドロックを喰らって昇天しそうになった事は 彼の思い出になるだろう…


「そんな下らない約束のせいで!俺は…!!」


悶々としている彼の横をすり抜けて 薫ちゃんがこっそりと耳打ちしてくれた。



「実行委員だけじゃなく、その約束を知った他の生徒まで押し寄せちゃってね…。和樹が波に埋もれて見えなくなって


やっとの事でどけてみたらなんと…


巻き込まれた光君とキスしてたの…」



「ブフッ!」



「さな~~!!てめぇ笑いやがったなぁ!?」



「ごめ…ウププ…」


うがぁぁぁあ!!!




流石にあたしには手が出せないらしく、安藤さんにまた八つ当たりし始めた。



…一応先輩なんだけどな、その人。




「とにかく、後夜祭もあるし、連れ戻しに来てあげたんだから、行くわよ!!」



真希がまた先陣を切って歩き出そうとする。



仕方ないか。



そう思っていた時だった。





「さなちゃん!!!!」