「自分はこんなに不幸なのに
かつて不幸を分かち合ったはずの大和だけが幸せそうに笑っていて
嫉妬 したの。
抜け駆けなんて許さないって…荒んだ考え方しかできないでいた。
でもね、目論見が成功していく快感と同時に 虚しさが私を襲ってきたの。
こんな事をして手に入れたとしても私は幸せになれない。
分ってはいたけど止められなかった。
止めれば自分がどんなに虚しい人間なのかを思い知らされる気がして…
逃げてばかりいたんだよね…」
華耶さんは辛そうにため息を一つ吐いて 一歩下がる。
「そんな時に彼と出会ったの」
寄り添った”彼” は、とても落ち着いた 優しそうな人だった。
「今日ね、無理言って付き添ってもらったんだ。一人じゃこんなに素直に謝れそうもなかったから。
いつも行ってるバーのマスターなんだけど…私が睡眠薬とお酒を併用しちゃって倒れた時にも付き添ってくれてた人で。
あたしの悩みや過去 身勝手な行動を理解し 正してくれた唯一の理解者なの。
この人になら全てを打ち明けてもいいと思えるくらい頼りになって
包容力もあって 大人な人なのよ。
だから、彼が間違っていると言った事をこんなに素直に理解することができた。
自分の間違いを認めることができた。
本当に恩人で 大切な人になった―――――………」



