小悪魔男子






「その前に…私から話させて…?」



そう言った華耶さんの顔はとても切なげで



今までに見たことのない表情だった。



「今まで ごめんなさい」




「え?」



それは艶やかとも取れるその表情に見とれていた時だった。




彼女は あたし達の目の前で深く頭を下げていた。




「こんなんで許してもらえるなんて思ってないけど…っ。何かしないと気が済まなくって…」



「ちょっと…そんなことされても…」



せっかく戦うつもりで「お話があります」なんて言ったのに 意気消沈 と言った感じの展開にまた頭が混乱する。



「華耶…頭を上げて」



大和の優しい言葉に 華耶さんは少し間をおいてから 静かに顔を上げた。




「…私、あなたたちにどんなひどい事をしていたのか、分かっているつもりだった。


だけど、大和の幸せそうな顔を見て…どうにかして壊してやりたかったの。


それがこんなに傷つけて 苦しませて


分っているはずだったのに 楽観視していた。


自分の思い通りになっていくことに快感を覚えていた。


それはどんどん増していって…」