……同情のつもりか？
その気が無いなら そんな顔しないで。
動かない足を奮い立たせて、彼女の側から立ち去る。
…コレで、良いんだよね？
ねぇ、誰か教えてよ―――………
｢良いわけねぇだろ｣
｢………｣
確かに、"誰か教えて"とは言ったけど
その"誰か"がコイツだなんて。
｢…おい、聞いてんのか？｣
喧嘩を売りに来たんじゃないのかとも思える言動に堪えきれず、一つ溜め息を吐いた。
｢……何しに来たの？
和樹｣
わざわざ家にまで来たというのに、言ってる事が良く分かんなかった。
｢だーかーらー！
俺はあのヒカルって奴にさながアドレス教えたのは良くないっつってんだよ！｣
｢あー…。
愚痴？嫉妬？
醜いねー。振られたのに、こうして女々しくライバルだったヤローの所に来て、
言うことといえば "良くない"だけ？
……もういいかな？僕も忙しいんだよね｣
じゃっ
と、家に逃げ入ろうとしたのに
案の定 ｢待て待て待て!!｣と引き留められた。
…引き留めるのは良いけどさ。
襟首を掴んで引っ張るのは止めて欲しかった。
