小悪魔男子





ミスコンの紹介を、体育館の影の方で見ていた。



さなちゃんが登場すると、会場は歓声に湧く。



…人気、あるんだ。



3年っぽいヤツらからはそうでも無いみたいだけど


幼さが残る生徒からの声援は、物凄いものだった。



さなちゃんはよほど緊張しているのか、天然っぷりを益々開花させている。


…さっきの事、気にしてないのかな…?



苦しくなる胸をギュッと掴んで、また壇上に目をやる。



紹介が終わって男子の後ろに並んだ彼女に


誰かが話しかけている。



…あれは……




安藤 だ。



あいつ、あんだけ威嚇してやったのに 懲りずにまた言い寄ってるのか?



でも



何か謝ってるし。



……訳わかんねぇ。






こんな所で手をこまねいて見てる事しか出来ないのが悔しい。



そんな想いで二人を見ている間に紹介は終わっていた。




…帰ろうかな。




このまま居てもきっとお互いに嫌な思いするだけだよね、きっと。