小悪魔男子



「あ♪ここに光君が居るのよッ!中入りましょ!」



1年C組の前に来たときに飛び上がる勢いではしゃぎ始めた薫ちゃん。



「…和装喫茶??」


入口に大きく貼られた看板を見て呟く。


「いらっしゃいませー!!」



中に入ると、甚平やら浴衣やら、夏が終わったというのにも関わらずそんな恰好をしながらコーヒーなんかを運ぶ後輩たちが居た。


開いている席に腰掛け メニューを開く。


「すみませぇ~ん」


まだ決まっていないというのに、薫ちゃんは近くに居た男の子を呼び寄せた。



「お決まりですか?」


「あのねッ。ここってウエイター指名できるのかしら??」



何を言い出すのか!!



「あ。はい!できますよ?」


できんのかよ!!



一人心の中で突っ込みを入れて疲れるあたし…。



余計な事を考える暇がないのは嬉しいけど、このままじゃ身が持たない。



「一番人気は ヒカルですねー」


「その子よッ!!指名してもいいかしら??」



「はい。かしこまりました!」



「ありがとー♪…ところで、あなた、名前なぁに??」



………もう何も言うまい…。