「真希。ですか?」
警戒レベルを上げる。
この人、前にこっぴどく振られた相手にまた手を出すつもりなのか?
「真希は安藤さんとは合わないと思います」
「あら。俺が彼女を好きだってよく分ったね。もしかして、さなちゃんみたいにひどいことするじゃないかって心配してる?」
素直に頷く。
「そっか。そうだよね…。あの時は、本当にごめんなさい」
「ち…ちょっと。こんなところで!やめてください」
「あ…。ごめんね。でも、あの時は俺も荒れててさ。さなちゃんには本当にヒドイことしたと思ってる。そう思えるようになったのは真希ちゃんのおかげなんだ」
真希が…?何をしたって言うんだろう。
安藤さんは続きを話してくれた。
「さなちゃんとそんな事があって、少し経ったとき
彼女が俺の前に突然現れて、『ばかやろー』とか言いながら殴りかかって来たんだ。
俺も突然の事だから避け切れなくて グーパン 喰らっちゃったよ」
こぶしを作って左頬に当て、その時の様子を説明する安藤さん。
真希が殴りかかるのは分る気がするけど…あたしの聞いていない事にただただ目を丸くする。
「それで説教までされちゃって。
最初はムカつく女だと思ってたけど、なんだかだんだん目が行くようになったんだよねー…。
俺、真希ちゃんに惚れちゃったみたい♪」
「どぅえぇぇぇ!?」
あまりの驚きに変な声が…。



