「オラッ!主役!
サボってないで早く舞台に立ちなさい!」
舞台って…
教卓スペースをそう言うなら、あたしは知らないままが良かった。
「さな!早く!!」
「は…ハイッ!!」
あたしは台詞を頭の隅から引っ張り出して
城の絵が描かれた背景へと向かった。
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学校祭前日。
前夜祭という事で、全校生徒がキャンプファイアーを囲んでいた。
これからうちの高校の伝統に則って、チークダンスを踊るのだ。
…ってゆうか、踊り方なんて分かんないし。
♪~♪~♪~♪
はっ!!始まってしまった!
ここに集まってるのは
暇で、あわよくば恋人を探そうとしている各学年の男女だ。
こんなレトロな出逢いなんて…
あたしは…
「あっ…あのっ!」
「ふぇっ?」
ぼーっとしてたせいで、前に立っていた男の子と踊りを始めていなかった。
「あっ!!ごめんなさい!!」
近寄って手を彼の腰に回す。
校章の横に付けているバッヂにはⅠと印されていた。
この子一年生なんだ。



