小悪魔男子




出来るだけ傷つけないようにしなければ。


そうは思っても


「家族以外と話すな」

「あの女とは会うのも止めろ」

どんどんと自由がなくなる状態に追い込まれ、つい反抗してしまったんだ。


「俺は華耶のモノじゃない」


言ってしまった事を後悔してももう遅かった。


「随分反抗的になったのね…。
そう…ならいいの。

ねぇ‥大和とおんなじ所を刺して?」


「…は?」


何を言ってるんだ?


手に包丁を握らされるまで


言っている意味が分からなかった。


「ここ…だよね?」


僕の手を腹に誘導する。


「死ぬなら、大和に殺されたい」


にこりと笑う華耶に恐怖を覚えた。


「やめろよ…。刺すなんて、出来ない」


「出来ないなら

私があなたの手で…」



包丁ごと俺の手をギュッと握って、先端を腹部に這わす。


「ダメだ…!!華耶。しっかりして!」


「してるわ」



グググ…


手前に引くが、ビクともしないくらいに力が強い。


本気だ…



目から光を失った様に虚ろになっている彼女に



「分かったよ。…華耶の言うとおりにするから

こんな事もう止めてくれ」


と言うしかなかった。