ー大和ー




そう言うしかなかった。



自分の無力さに嫌気がさす。




僕がもっと大人なら



大事な人を傷つける事も無かっただろうし


手放す事も無かっただろう。


間違いかもしれない


けど



今の僕には別れる事しか選択肢がなかったんだ…



それで命を救えるのなら



自分が傷ついたって良いんだよ…







話は



2年前の12月に遡る。




――――――――――………






「大和~♪久しぶり★」




「……誰?」



玄関の扉を開けると、母親と、若そうだがふくよかな女性が立っていた。



"久しぶり"と言ったのはその女性だった。



「え~!?いとこの顔も忘れちゃったワケ?

華耶よ!か~やッ!!」



「え゛?華耶ねぇちゃん?」


1年前に会った時に比べて、20キロは太ったと思われるその顔と体をよ~く見ると


微かにその面影が残っていた。


「どうしちゃったの??」


リビングに通した後、母親は仕事が残っているからと家を出て行き


2人だけが残された。


それを見計らって尋ねたのだ。


「…んとに失礼ね~!」