小悪魔男子




真希と薫ちゃんは顔を見合わせて、少しだけ笑いながら質問に答えてくれる。


「あんた、今何時だと思ってるの?

もう2時よ、2時!!」


「うそぉ!」


掛け時計を見ると、確かに短針は2を指している。


「そーだよ。あたし達に無断で休むなんて…

教師には風邪だなんて言ってたみたいだけど、

そんなの嘘だって分かってたんだからね」


真希に頭を弾かれる。


あぁ。


だからあたしはみんなが大好きなんだ。



「ありがとう…」


素直にお礼を言った時、


和樹が顔をキテ●ーちゃんのタオルで拭きながら部屋を開けた。


「それで…

アレは何だったワケ?」



軽蔑の眼差しで和樹を指さすと


「アレとは何だ、アレとは!!俺だって、好きでこんな事…」


と、ブツブツ文句を言い出した。


「実は、文化祭で、うちのクラスは劇をする事になったの」


と薫ちゃん。


「文化祭って10月じゃなかった?」


「そうなんだけど、夏休み明けにすぐテストがあるでしょ?

いつもの喫茶店とかならギリギリでも大丈夫なんだけど…

今年はあの女が張り切って『眠り姫』をやりたい

なんて言い出したもんだから…」



真希説明してくれたあの女とは

聞かなくても華耶さんだと分かってしまう。