小悪魔男子





「そういえば、さなちゃんがうちに来るなんて珍しいよね。どうしたの?」


…そうだ。


あたしは避けられてる理由を聞きに来たんだった。

ソファーに座る体勢を直す。


「あの…あのね。あたし………―――ッ!!!!」



彼の目を見ようと顔を上げたとき



首もとに赤く小さな痣があるのに気付いてしまった。



いくらバカなあたしでも 自分にも付けられた事のあるソレが分からない筈は無い。



喉まで出かけた言葉が


またしても小さく萎むようにしてどこかに行ってしまった。


「さなちゃん…?」



突然俯くあたしを心配して、隣りの席に腰掛けてくる。


だけど


今のあたしにとっては


側に来られるだけでも嫌だった。


汚らわしい



気持ち悪い




じっとりと 背中に汗が滲むのが分かった。




「具合…悪いの?」