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次の日の夕方。
あたしは大和に会いにお隣へ向かった。
ピンポーン…
"…はい"
スピーカーから大和の声がした。
「あ…さなですけど…」
おい。緊張して敬語になってるぞ。
"今玄関開けるね"
ブツッ と音声を遮断した機械音が聞こえ、ゆっくりと玄関の扉へと向かう。
その途中で、派手な色の外車が駐車場に無いことを確認し 安堵する。
「華耶さん、まだ帰ってないんだ…」
こちらとしては好都合だけど。
がちゃり。
「いらっしゃい。…上がって?
誰も居ないから」
そう言って、彼は微笑んで見せたけど
何だか元気が無いのは目に見えて分かる。
いつもならあたしを見つけようものなら、凄い勢いで駆け寄ってきて抱きつきそうなものなのに。
「お邪魔します…」
靴を脱ぎながら、話す前から不安で一杯になるあたし。
…なんてチキンなハートなんだ。



