小悪魔男子



「でもね…次の日の夜、私のアパートまで来て

『すみません!
前の彼女と一夜を共にしてしまいました。許して下さい!』

って土下座つきで謝ってきたのよ~。


別れを切り出されるもんだとばかり思っていたから拍子抜けしちゃって

怒ってたことも忘れちゃったの。


それからは私一筋みたいだけどね♪」



ニコッ


…話しを聞くまで、そんな事があったなんて思いもしなかった。


だって、本当にお父さんはお母さんの事しか見ていないように見えたから。


どっちかって言ったら、お父さんがお母さんを追いかけまわしてた っていう方がしっくりくる位に。



「お母さんはオトナだから…多少の事は目を瞑るんでしょ?

あたしなら…無理かも」


現に浮気の事実がない今でさえ、イライラしてしょうがないのに


その現場なんか見たらショックで死んじゃうんじゃないかと思う。


お母さんが口を開いた。


「いくらオトナでも、我慢が出来なかったり、しちゃいけない時だってあるのよ?

いくら仲の良いカップルや夫婦でも言わなきゃ分からない。


私の場合は、お父さんが自分から打ち明けてくれたって所が許すポイントになったの。

それって、もう浮気なんてしないために
1度きりの過ちを葬り去った

って思わない?」