「相談に乗っているうちに、
あの笑顔を取り戻したい
って思うようになった。それが私に向けられたら…ってね。
二人が別れたって報告があった時、気付いたら『付き合って下さい』って言っていたわ。
『今は忘れられなくても
私がきっといつか、あなたの笑顔を取り戻してみせる』って。
…積極的でしょ?」
「うん…。お母さんらしい」
気付いたら言ってたなんて、可愛すぎる。
「でね。
お母さんの押しに負けたお父さんは、とりあえずだけど付き合ってくれるって言ったわ。
だけど…プラトニックって言うのかな。
普通の恋人らしい事は何にもしなかった。
不安だったけど…
私は嬉しかったの。
あの笑顔が、少しだけだけど戻ってきたから。
けどね、ある日の夜、アパートに帰る途中の道でお父さんが前の彼女と歩いているのが見えたの。
手なんか繋いじゃってね」
「じゃあ、浮気相手って…元カノだったんだ…」



