一気にざわつく教室。


その声の大半は男子のものだった。


「おはよー…」


今月の頭に席替えをして、偶然にも隣りになった薫ちゃんに挨拶をする。


「おはよー。…ねぇ、あのケバい女…だぁれ?」


薫ちゃんは華耶さんを一目見ただけで警戒をした。


何?野生のカンってやつ?


中性的な人はカンが鋭いのかな?


「あの人、実は――…」


説明しようとしたけど、華耶さんが教卓を手にしていた名簿で叩き、周りを静かにさせたせいで言いそびれてしまった。



しん となった教室を眺めて笑顔を作った彼女は自己紹介をする。



「遠藤 華耶です。神楽先生の代わりにあなた達の担任を任される事になりました。

大学を出てロスの方に1年半ほど留学をしてたんで英語で分からない所があったら聞きにきてね。

担当教科は体育よ。これでも体育大卒ですから♪」




凄い。



たった数分でみんなを惹きつけた。


何か、そんなオーラがあるのかもしれない。



まぁ…一部を除いては、だけど。