小悪魔男子





何だかわけが分からないうちに華耶さんは「じゃぁねぇ~」と笑いながら去って行ってしまった。



あたしはくらくらする頭を抱えながら、口をゴシゴシと拭いている大和の方を向く。




「ねぇ、大和?なんで大和がキスされなきゃなんないのかなぁ」


「さなちゃん…?」



「あたしはいくら可愛いいとこの子にもキスなんてしない。ましてや一周り以上も年の違う相手なんか…

…二人に何かあったの?」


涙をこらえて、彼の目を見つめる。



けど



逸らされてしまった視線。




それだけで十分だった。




分かってしまったんだ。あたしの知らない何かが二人にはあるって。




けれど。彼はそうとは言わなかった。




「何でもないよ。さなちゃんが心配することじゃない。ただのいとこなんだから」




違う。



「それにほら。あいつ、外国帰りだし。

感化されたんだと思う…」





違うよ。