小悪魔男子





かたん…



誰かが机を離れる音で顔を上げると、立ち上がっていたのは薫ちゃんで

あたしの元へと近づいてきた。



「薫ちゃん…」


「ねぇ、やっぱり今から真希のお家に行かない…?あたし、こんな所にじっとしていられるほど楽観的じゃないの」


「うん。あたしもそう思ってた。

和樹、行かない?」


その言葉に彼もまた同意してくれた。




あたし達は鞄を持ち、学校を出る。会議で人がいない分抜け出すのは容易だった。




電車に乗り、迷わず真希の家に着くことができたが、リビングにはカーテンが引いてあり


物音ひとつしていないような様子だ。




「誰も居ないのかしら…?」


「一応謹慎だろ?居ないはずないだろ」


呼び鈴を鳴らす。



すると、ブツっという音か聞こえ、カメラ付きのスピーカーから彼女の声が聞こえてきた。



”…みんな…”


「真希…?

心配で来ちゃったよ。中…入れてもらえないかな」



”…うん。鍵開けるから玄関まで来てくれる?”




門を抜け、玄関の扉に立つと

ガチャリ、という音をたてて扉が開いた。