「いい加減にしろ!」
けれど、声を上げたのはあたしじゃなく、見た事もない程怒っている和樹だった。
「陰口叩いてんじゃねーよ。それは真希が居ないから言えるんだろ?
あいつを何も知らないお前らが言っていいことじゃねぇんだよ」
し……ん…
いつもはクールで、感情を顔に出す事はめったにない彼がこんなに怒りをぶつけている。
あたしや薫ちゃんですら驚いているのに、他の人たちが平気でいられる筈がない。とくに女の子なんかはショックで泣きそうになっていた。
「あー…臨時の先生は私が勤めるからそのつもりで。1時間目は自習だ。プリントを持ってくるからそれをやっていなさい」
居づらくなった学年主任はそうとだけ言って、教室を出て行った。
残されたあたし達の空気は重っ苦しくて息ができなくなりそうだ。



