「で…でもさ、たまたま会ったのかもしれないし、真希が徘徊してるのを先生が見つけて送って行こうとしてたのかも知んないし、偶然…」
「偶然?」
和樹は”現実を見ろ”とでも言いたげな目で、あたしにその事実を告げてきた。
「…偶然二人が私服でいるか?偶然手を繋いでいると?
ホテルに入ろうとしてたのにか?
全部本当のことなんだよ。それで今職員とPTAで話し合いが行われてる。
真希は処分が決まるまで謹慎だそうだ」
「………ははっ」
今なら、なんで真希があたし達との約束早く切り上げてまで帰って行ったのかがわかる。
たまに見た彼女の憂鬱そうな顔の理由もわかるよ。
そっか…相手は神楽センセーか。
どんな先生だっけ?
わかるのは…
今年赴任してきて、体育の受け持ちで、まだ20代後半で…
見た目はまあかっこいい部類だよね。
優しそうな笑顔だし、面倒見もいい。
それだけなら よかったのに
それだけなら応援したのに。
彼は 神楽先生は
結婚している。



