今日一日でなんだか大人びた顔になった彼。
優しい目をしながら話を続けてくれた。
「…最後にね、二人だけで観覧車に乗ってもらったんだ。
僕からそんなことを言われるなんて思ってなかったみたいで、照れくさそうにしながら乗り込んでた。
帰ってきた二人を見て僕、驚いちゃった。
何があったと思う?」
大和は、いたずらを仕込んだ無邪気な子供のように明るく笑うんだ。
なんだか胸の高まりが収まらない。
笑顔が自分を明るくする。
微笑みながら首をかしげるとすぐに答えを教えてくれた。
「あのね、笑いながら手をつないでるんだよ?
本当に嬉しそうだったし、僕も嬉しくなった。こんなに嬉しくて泣きそうになったことなんて無かったよ。
乗っている間、色んなことを話し合って、楽しい事を思い出してくれたみたい。
それで、
離婚の話、無くなりそうなんだ。
勿論お母さんの浮気の事は許されないことだって思ってるけど
それ以上にお父さんはお母さんが好きみたい。
もともと嫌いになって離婚の話が出たんじゃないから、もう大丈夫だよ。
…さなちゃん、本当にありがとう」



