真希の姿が見えなくなるまでにそう時間はかからなかった。
薫ちゃんが頬杖をつきながら呟く。
「…あたし達、別に怒られるような時間に帰ってなんかないわよね?
遅くても7時半には家に着くように解散してるんだから。
きっと、何かあるわね」
「何かって何だよ」
「そんなの知らないわよ。
聞きたくても、そう言う事、真希が話してくれるはずないんだから」
そういう子なの、と言う薫ちゃんは少し呆れてるようだった。
そして二人は何を根拠にしているのか分からないけど、推理を始めた。
人には言えないバイトをしている とか
宇宙人と交信してる だとか。
二人の笑いがおぞましく聞こえてしまう。
くだらな過ぎて、笑うどころか怒りがふつふつと湧き上がってきた。
「…やめなよ。
二人だって隠し事の一つや二つくらいあるんでしょ?
そりゃぁあたしだって、真希には何でも話してほしいとは思ってる。
だけど、それを言わないのはあたし達がまだ信用されてないってことなんじゃない?頼れるような器じゃないから、きっと言いたくても言えないんだと思う。
なのに、そんな言いたい放題言って…
それじゃあいつまでたっても信用なんかされないよッ!!」



