───────
 ───────
  ───────
   ───────

「なぁ、聞きたいことがあんだけど……いや、気のせいか……」

茶店で冷たいものをつつきながら俺が言うと、

「ああ、あれはトゥィンクル。私の遣い魔なの」

「遣い魔? あの猫のこと?」

じっとこちらを見ながら耳をそば立てている黒猫を振り返って彼女が手を振ると、まるでそれに返事をするかのように猫は延び上がり一声鳴いた(ように見えた。窓の外なので実際には解らないが)

少し前に俺が存在に気付いたその猫は、可奈子と同じように相槌を打ち、同じように笑っていた(ような気がした)

「あいつ、人の言葉が解るのか?」

そんなことを真面目に聞くのもバカみたいだったが、その猫には、そうせずにいられない程の人間臭さが有る。