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「じゃあね、ガッちゃん。元気でね」

「ああ。お前もな」

また1人、俺の思い出のナップザックに麗しい荷物が加わった。

でもヤツはちょっと変わったタイプの女だった。

可奈子。

人形みたいに細く、クリクリと丸い瞳が特徴的な女。

俺が何の目的も無く、昼の繁華街をひとり歩いていた時に拾った仔猫ちゃんだ。


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「どうした? 彼女」

「ええ、この暑さに参ってしまったみたいで」

可奈子は少し通りから引っ込んだ自動販売機コーナーにうずくまっていた。

「それはいけないな。ちょっと待ってろ」

俺は急いでタオルを水で濡らして持って行ってやった。

「これで首回りを拭ってみな。心配しないでも洗濯したての替えタオルだ。汚なかねえ」