超能力や霊感なんて、生まれてこのかた信じた事なんか無かったけれど、きっと俺の切なる思いだからこそ彼女に通じたんだろうと思い、少し嬉しくなった。
その夜──────────────
ほのかにセピア掛かった風景。聞こえるのは吹き抜けていく風の音。
髪をなびかせて岸壁の突端に立ち、羽衣のような薄布をまとった彼女を、あらゆる角度から捉えた映像が目まぐるしく切り替わっている。
ストップ&ゴー、スロー&ファスト、ズームイン&ズームアウト。
ひとしきり彼女の映像が続いた後、その悲しみ色をした瞳がアップになり、俯瞰の画に変わった途端。
彼女はゆっくりと傾きながら海へと落ちて行く。
上昇気流に吹き上げられて宙に浮かんだままのカモメをすり抜けて、紺碧の海へ一直線に吸い込まれていく彼女。
「駄目だぁぁっ!」
激しく叫ぶ自分の声で目が醒めた。
薄い煎餅布団を握り締め、上半身を起こしていた俺は汗だくになって肩で息をしている。まだ扉の付いていないニュー御殿は、この時期に在ってはもう肌寒い位だというのに。
しかし、これが夢だということは薄々気付いていた。薄茶色の景色の中で、海の色だけが目に痛い程に青々としていたからだ。
その夜──────────────
ほのかにセピア掛かった風景。聞こえるのは吹き抜けていく風の音。
髪をなびかせて岸壁の突端に立ち、羽衣のような薄布をまとった彼女を、あらゆる角度から捉えた映像が目まぐるしく切り替わっている。
ストップ&ゴー、スロー&ファスト、ズームイン&ズームアウト。
ひとしきり彼女の映像が続いた後、その悲しみ色をした瞳がアップになり、俯瞰の画に変わった途端。
彼女はゆっくりと傾きながら海へと落ちて行く。
上昇気流に吹き上げられて宙に浮かんだままのカモメをすり抜けて、紺碧の海へ一直線に吸い込まれていく彼女。
「駄目だぁぁっ!」
激しく叫ぶ自分の声で目が醒めた。
薄い煎餅布団を握り締め、上半身を起こしていた俺は汗だくになって肩で息をしている。まだ扉の付いていないニュー御殿は、この時期に在ってはもう肌寒い位だというのに。
しかし、これが夢だということは薄々気付いていた。薄茶色の景色の中で、海の色だけが目に痛い程に青々としていたからだ。


