「え?」

「それともまさか、本官達がおたくの褒賞金をかすめ取ったとでも?」


 そうだ。三塚さんがそんなさもしい事をする筈無いじゃないか!

俺は自分の卑しさに嫌気が差した。



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 しかし、生まれてこの方一度も賞状と縁の無かった俺が、こんな晴々しいそれを頂いたのだ。

ニュー御殿竣工の暁には、一番目に付く所に飾るんだと、御殿建築へのテンションを高める材料ともなっていた。


「おう兄ちゃん、精が出るねぇ」

「広瀬さん。何とか形になって来ましたよ」

「ナントカどころじゃねぇよ、立派なもんだ。外壁を化粧したら売り物になるんじゃねぇのか?」

「またまたそんな。俺を誉めたって何も出ませんよ?」


 こう言ってはいるが、実はそれなりに頑張っていたのだ。用意して貰った材料も廃材とは名ばかりの新品同様の品だったので、きっちりと図面を引いて、寸分の狂いも無く加工した。立ち読みで得たノウハウを駆使して、有り余る時間をつぎ込み造っているこれは、確かにそこいらの一戸建てより凝った物になっていた。


「いや、誉めときゃまた茶が出るんじゃないかと思ってな。兄ちゃんから貰ったやつ、事務所で美味しく飲ませて頂いてるよ。はっははっは」