ドクン。

隣でスタンバっている選手の鼓動までもが、俺の脈にリンクして聞こえてくるようだ。

ドックン!

「ゴーッ!」

しまった!

出遅れた。

身体を起こすタイミングがほんの僅かずれてしまった。

その間に他の3名から三歩程遅れを取ってしまう。

「くそっ! ルートが見えない」

踏み散らされた砂浜は、どこに足を付いたらいいのか容易に解らない。

「力を抜いて! 砂に逆らわずに走るんにゃ!」

トゥインクルが叫んでいる。すると、

ん?

何だかギャラリーがざわつき始めた。俺たちライフセーバーは人々の動きによって要救護者を察知するので、このただならない空気は他の選手の足も止めさせていた。