「やったわね、がっちゃん。この調子で一気に勝ち上がりましょう!」

可奈子が人形のようなか細い身体で駆けてきた。俺は喜びを精一杯抑え込んで答える。

「まだ初戦。手強いシード選手は遥か彼方。油断は大敵……だ。

……なぁんてな、ガッハハハハ! やったぜ可奈子ぉ」

俺たちは抱き合って、クルクルとワルツのように回った。

本当のトコは俺が華奢な可奈子をブンブン振り回していただけなんだがな!


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そうこうしてるうちに、本当にベスト4まで勝ち上がっちまった俺は、スタートの緊張と共に言い様のない胸騒ぎを覚えていた。