「レディ?」

スターターの声が響くと一瞬でその場を静寂が席巻する。

ドクン。

ドクン。

ドクンッ。

「ゴーッ!」

掛け声と共に号砲が鳴り響き、俺は飛び起きた。

「手を付いた場所で踏み切り」

身体から落ちていく砂の粒までが見えるほど俺は落ち着き、集中していた。

「次の一歩はあの窪み」

足を付くべき所が自然と解った。トゥインクル直伝の『猫走り』で駆け抜ける。

チラッと後ろを振り返るが、俺に追随して来れる奴など一人も居ない。

「ワァーッ!」

大歓声が上がる。俺は身体を屈めただけでフラッグをゲットする。

次々にフォロワー達がやってくるが時既に遅し。

旗は俺の頭上に高々と掲げられていた。