「このクソゴブリンめ、俺にはなぁ……」「そしたらがっちゃんのお陰も有るんじゃない。感謝しなくちゃ」

文句を言おうとした俺を笑顔で制して、可奈子はゴブリンをたしなめた。

「あ、ああ。そうだな」

こいつは面白い。あのレオナルドが素直になってやんの。

「ちゃんと感謝の言葉を。『有り難うがっちゃん』って言うのよ」

クククッ、肩がワナワナ震えてやがる。

「あ……有り難う……ガチャーン」

なんか物が壊れた音みたいだがまあいいか。許してやろう。

「あはは、がっちゃん似合ってるわよ」

「え?」

「お礼の印だ、ガチャーン」

鏡を見ると、俺の頭に大輪のハイビスカスが咲き誇っている。

「このっ! 俺にフラダンスでも踊れってのか!」

可奈子が爆笑する中、俺はゴブリンを追い掛け回していた。