【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

わたしはどうすればいいんだ?


殿という人は、とかく自分の思う通りにしか動かないのか。


その後いくら待っても現れることはなかった。


「秀政、心配してるかなあ?」


することもなくて縁に座ると、夜の帳の下りた庭を眺めた。


庭のことなどさっぱり分からないけれど、手入れが行き届いているということは見れば分かる。


「はぁ、わたし、お城に来ちゃったんだ……」


秀政はねねさまに聞いただろうか。


それならば直ぐに来てくれそうなものだ。


でもこの部屋の周りには人っ子ひとりなくて、彼が助けに来てくれそうな雰囲気は皆無だった。


もしかしたら。


厄介払いが出来たと、喜んでいるかもしれない。


そう思うと、そちらの方が合っている気になってきた。


仕事が忙しいからと会おうとしなかったのも、わたしをここに連れて来たことを後悔し始めたからかもしれない。


そうだ。


きっとそうなんだ。