【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

「名は?」


「迦陵と申します」


わたしの代わりにねねさまが答えた。


「ふうん……」


品定めでもするように、わたしの上を殿の視線が上下する。


わたしは顔が紅潮するのがわかった。


殿は綺麗な顔をふっと歪めて笑うと鞭を下ろした。


支えをなくして前につんのめりそうになったのをこらえ、わたしはほっとして息をついた。


(よかった、これで帰れる)


そう思ったのもつかの間、殿がぐいっとわたしの腰を抱き、軽々と肩の上へと持ち上げたのだ。