【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

殿はいきなり馬上から降りると、つかつかとこちらに向かって歩いてくる。


わたしはにわかに緊張し、体を硬くした。


ざっと地面を鳴らして立ち止ると「ねねよ」と呼んだ。


「はい」


「そなたほどのおなごが、何故猿などとめおとになった?」


「まあ、殿」


とんでもない質問だというのに、ねねさまはおっとりとほほ笑んでいる。


「猿でございますから、そこが良いのでございます」

と、そう平然と答えた。


すると殿は一瞬きょとんとした顔したかと思うと、また大笑い。


「猿は果報者よ!」


「恐れ入ります」