【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

「殿はおひとりでここまでおいでに?」


「咎めるか、ねね」


「お立場を考えますれば」


「いちいち供などつれていては、息が詰まる」


「ですが。秀吉ならば、邪魔にはなりますまい」


「猿か!」


すると『殿』と呼ばれたその人は、甲高い声で笑い始めた。


その笑声は黄昏の山にこだました。


「猿など、何するものぞ」


「恐れ入ります」


ねねさまは深々と頭を下げた。