【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

見ただけで分かる。


その人が人の上に立つべくして生まれたのだということが。


馬にまたがる姿は堂々として威圧的で、辺りを払うような殺気すら帯びていて。


こんな美しい場所にいるというのに、一分の隙も見られない。


整った顔立ちの分、鋭く光る眼が印象的だった。


激しい風は吹き荒れたまま、わたしはその人から目を離すことが出来ないでいた。


「ねねか」


少し離れているというのに、その声は澱みなくわたしたちの元に届いた。


以前会った時もそうだったけれど、随分大きな声をしている人だ。


「はい」


気付けば、ねねさまは地面にひれ伏している。


「迦陵も」

と促され、わたしも慌てて平伏した。


この人は一体誰なんだ?