【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

「ここは、極楽……?」




わたしのか細い声を、相手はなんとか聞き取ったのか、穏やかに微笑んで口を開いた。


「いいえ。ここは浄土のもっと手前。修行をするお寺ですよ」



(ああ、わたしは生きている……)



嬉しくはなかった。


複雑な気持ちだった。



死んでしまえていたならどんなに良かったか。




けれど、生きてこうしてお寺にいるということは、何か因縁めいていて、わたしはまだ死ねないのだと何故か分かってしまったのだった。