【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

そんな彼女を道行く人が次々と振り返っては見ていく。


けれどねねさまは、

「まあ、あなたの可愛らしさに皆振り返ってるわよ」


などと、のたまうのだ。


ねねさまは美しいという自覚がないのだろうか。


誰もわたしのことなど見ていないというのに、どうしてそんな風に思うのだろう。


尼さまもそうだったけれど、聡明な女性というのはどこか抜けている。


「ほら、あの者もそなたを見ているわ」


などと、その後もねねさまは楽しそうだった。


(まあ、ねねさまが楽しいならいいか)


わたしは道すがら、彼女の明るさに癒されていたのだ。