【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

「それじゃ、わたしはこれで」


これ以上ねねさまの邪魔をするのは悪いような気がして早々に立ち去ろうとすると、ちょっと待って」と呼び止められた。


「迦陵も忙しいと思うけれど、少し私に付き合ってくれない？」


「え、ねねさまに？」


「あら、そんなに嫌がらないで」


「いえ、別に嫌がっているわけじゃ」


慌てて言い訳しようとすると、ねねさまはくすくす笑っている。


どうやら怒ったわけではないらしい。


「あの……ねねさま？」


「秀吉も言っていたけれど、迦陵って本当に可愛らしいのね。秀政どのが家の中に隠してしまうはずだわ」


「え、え、え、何をおっしゃって……」


秀政の名が出たことで、わたしは気が動転し、顔を真っ赤にさせながら何も言えなくなってしまった。


「あら、家中ではすっかり評判みたいなのよ。秀政どのが京から可愛い恋人を連れ帰ったって」


ねねさまは邪気のない笑顔をしながら、とんでもないことを言っている。