翌朝目覚めると、すでに秀政の姿はなかった。


あとで門番の者に聞いたところによれば、まだ夜も深いうちに帰ってしまったという。


わたしはとてもがっかりした。


秀政はずっと一緒にいてくれるものと、何故か思い込んでいたからだ。


肩を落としながら身繕いをしていると、腰巻に赤いものが付いていることに気がついた。


慌てて尼さまのもとに走った。


尼さまは朝の勤めの真っ最中だったけれど、丁寧に対処してくれ教えてくれた。




わたしはその朝、初めての月のものを迎えたのだ。


十代も半ばの、遅い始まりだった。


今まで足りていなかった栄養が、ここにきて十分体を成長させるだけ取れるようになった証拠だと、尼さまは我がことのように喜んでくれた。


さらには男女の睦みごとのことまで、こと細かく教えてくれた。


なんで尼さまがそんなことまで知っているのかと思わないでもなかったが、わたしは昨夜の秀政の不自然さに思い至って、やっと合点がいったのだった。


それならば彼の戸惑いもなんとなく理解できる。


わたしは実はとんでもないことをしたのかもしれないと、人知れず顔を赤くした。