【戦国恋物語】出会いは突然風のように…

不意に肩を掴まれ引き寄せられた。


前を向いていたわたしは倒れそうになり、そのまますっぽり秀政の胸の中に納まってしまった。


彼の厚い胸板を肌に感じ、わたしは慌てて飛びのけようとしたけれど、秀政は許してくれなかった。


逞しい腕に、包まれてしまった。


「迦陵……」


耳元で吐息とともに囁かれ、わたしの胸は苦しいほどにどきどきいっている。


「迦陵……」


どうしたらいいのかわからない。


秀政のわたしを抱く腕の力が次第に強くなっていった。


「ひ、秀政。苦しいよ」


それだけ言うのがやっとだった。